問題
技術経営(MOT:Management of Technology)における「イノベーションのジレンマ」に関する記述として、適切なものはどれか。
ア)イノベーションのジレンマとは、新技術の開発に予算を投じすぎることで、既存事業の収益が短期的に悪化する現象を指す。
イ)イノベーションのジレンマとは、既存顧客のニーズに丁寧に応え続け持続的技術の改良に注力する優良企業ほど、既存の価値基準とは異なる破壊的技術(イノベーション)への対応が遅れ、市場での地位を失うことがある現象を指す。
ウ)イノベーションのジレンマは、技術力の低い企業にのみ発生する現象であり、優良企業には無関係である。
エ)技術のSカーブとは、技術の性能向上が常に一定のペースで直線的に進むことを表すモデルである。
解答・解説を見る
正解: イ)
解説:
- ア)予算配分による短期的な収益悪化という説明は、イノベーションのジレンマが指摘する本質的な問題(既存の価値基準に基づく合理的な意思決定が、かえって破壊的技術への対応を遅らせる構造)とは異なり、誤りです。
- イ)イノベーションのジレンマは、既存顧客の要求に忠実に応え、持続的技術の改良に経営資源を最適配分する「優良企業」ほど、当初は性能が劣り既存顧客のニーズに合わない破壊的技術を軽視しがちになり、結果としてその技術が成熟した際に市場での地位を失ってしまうという経営学上の理論です。正解です。
- ウ)この理論はむしろ、合理的な経営判断を行う「優良企業」ほど陥りやすい構造的な問題として提示されたものであり、「技術力の低い企業にのみ発生」「優良企業には無関係」は誤りです。
- エ)技術のSカーブは、技術の性能が初期は緩やかに、その後急速に、そして成熟期には再び緩やかに向上するというS字型の推移を表すモデルであり、「常に一定のペースで直線的に進む」という記述は誤りです。
重要キーワード
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| イノベーションのジレンマ | 優良企業ほど破壊的技術への対応が遅れる現象 |
| 持続的技術 | 既存の価値基準に沿って性能を向上させる技術 |
| 破壊的技術 | 既存の価値基準とは異なる新たな価値をもたらす技術 |
| 技術のSカーブ | 技術の性能向上がS字型に推移することを表すモデル |