午前I問題

電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)に関する記述として、適切なものはどれか。

ア)電子署名法第3条により、本人による一定の要件を満たす電子署名が行われた電磁的記録は、真正に成立したものと推定される。

イ)電子署名法における「電子署名」とは、公開鍵暗号方式による署名に限定されており、共通鍵暗号方式を用いた認証子は対象外である。

ウ)電子署名法上の認証業務は、法務大臣の認定を受けなければ一切実施することができない。

エ)電子署名が施された文書は、タイムスタンプの有無にかかわらず、署名時刻の証明として無期限に有効な証拠能力を持つ。

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正解: ア

解説:

  • ア)正解。電子署名法第3条は、本人による電子署名(固有性・非改ざん性の要件を満たすもの)が行われた電磁的記録について、私文書における印章・署名と同様の真正推定効を認めている。
  • イ)不正解。電子署名法の定義(第2条)は暗号方式を限定しておらず、本人性・改ざん検知性の要件を満たせば方式は問わない。
  • ウ)不正解。認定認証業務は任意の認定制度であり、認定を受けない認証業務(私的認証局等)自体は禁止されていない。ただし認定を受けると法的な信頼性が高まる。
  • エ)不正解。電子署名の検証には署名用証明書の有効期限があり、期限経過後は署名検証が困難になる。長期にわたる証拠能力の維持にはタイムスタンプや長期署名の仕組みが必要。
電子署名法の要点内容
第2条電子署名の定義(本人性・非改ざん性)
第3条真正推定効(本人による電子署名)
認定認証業務主務大臣が認定する任意制度、信頼性を担保

午前II問題

長期署名フォーマット(PAdES-LTV、XAdES-A等)とタイムスタンプの活用に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア)タイムスタンプは、電子文書がある時刻に存在していたこと(存在証明)と、その時刻以降に改ざんされていないこと(非改ざん証明)を証明する技術であり、署名用証明書の有効期限切れ後も原本性を維持するために用いられる。

イ)長期署名は、署名用証明書の有効期限が切れる前に電子文書自体を再作成し、新しい鍵で再度電子署名を施す方式である。

ウ)アーカイブタイムスタンプは、初回のタイムスタンプが失効した後は再付与できないため、長期保存には不向きである。

エ)電子帳簿保存法におけるスキャナ保存制度では、タイムスタンプの付与は任意であり、いかなる場合も必須要件とはならない。

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正解: ア

解説:

  • ア)正解。タイムスタンプ(時刻認証局:TSAが発行)は存在証明と非改ざん証明を行う。署名用証明書自体の有効期限が切れても、署名時点でタイムスタンプが有効であったことを検証・維持することで長期的な原本性(長期署名:LTV)を確保できる。
  • イ)不正解。長期署名は文書を再作成するのではなく、失効前に検証情報(証明書・失効情報)を文書に追加し、さらにアーカイブタイムスタンプを重ねて付与することで検証可能性を延長する方式。
  • ウ)不正解。アーカイブタイムスタンプは失効が近づくたびに新しいタイムスタンプを重ねて付与(再付与)することができ、これにより理論上無期限に長期保存が可能。
  • エ)不正解。電子帳簿保存法のスキャナ保存制度では、(改正により要件緩和はされたものの)真実性確保の方法としてタイムスタンプ付与が原則の要件の一つであり、代替措置(訂正削除履歴が残るシステムの利用等)がない場合は必須。
長期署名の技術要素役割
タイムスタンプ(TSA)存在証明・非改ざん証明
検証情報の内包証明書・失効リストを文書に埋め込み将来の検証を可能に
アーカイブタイムスタンプ失効前に再付与し証拠能力を延長

午後問題

G社(建設業、従業員500名)は取引先との契約書を電子契約サービスに移行し、電子署名とタイムスタンプを付与して保存している。契約書の一部は電子帳簿保存法に基づく国税関係書類として、法定保存期間(原則7年、欠損金がある場合は最長10年)保存する必要がある。ある日、経理担当者から「電子署名用の証明書は有効期間が最長5年程度と聞いたが、7〜10年保存する契約書の真正性はどう担保するのか」という質問が上がった。

設問1

証明書の有効期間よりも長い保存期間が必要な電子文書について、原本性・真正性を長期にわたって維持するための技術的対策を、具体的な仕組みの名称を挙げて2つ説明せよ。

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正解例:

  1. アーカイブタイムスタンプ(長期署名/PAdES-LTV・XAdES-A等):署名用証明書の有効期限が切れる前に、署名検証に必要な証明書・失効情報を文書に埋め込み、さらにその時点でタイムスタンプを再付与する。以後も期限が近づくたびにタイムスタンプを重ねて付与することで、検証可能性を保存期間全体にわたり延長する。
  2. 信頼できるタイムスタンプ局(TSA)によるタイムスタンプの継続的付与:一般財団法人日本データ通信協会の認定を受けたTSA等、第三者機関が発行するタイムスタンプにより、文書が特定時点で存在し以後改ざんされていないことを証明し続ける。

解説・採点基準(計15点):

採点項目キーワード配点
長期署名・アーカイブタイムスタンプの名称長期署名/PAdES-LTV/XAdES-A のいずれか5点
タイムスタンプの再付与の仕組み有効期限が切れる前に重ねて付与する旨の説明5点
第三者機関(TSA)への言及タイムスタンプ局・時刻認証局5点

設問2

電子帳簿保存法のスキャナ保存制度において、タイムスタンプの付与以外に真実性を確保する代替手段として認められている方法を1つ挙げ、その仕組みを説明せよ。

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正解例: 訂正・削除の履歴がすべて記録される(またはそもそも訂正・削除ができない)システムに保存し、そのシステムのタイムスタンプ機能に代えて、システム上のログにより入力期間内の記録であることを確認できるようにする方法。具体的には、クラウド型の文書管理システムで、保存後の変更操作が全て監査ログとして残り、改ざんがあれば検知できる仕組みを構築することで、タイムスタンプ付与を省略できる。

解説・採点基準(計15点):

採点項目キーワード配点
訂正削除履歴が残るシステムの利用履歴管理・訂正削除不可7点
タイムスタンプ代替である旨の説明代替措置・真実性確保4点
ログによる入力期間の確認監査ログ・入力期間の証明4点

部分点:クラウド会計・文書管理システムの具体名のみで仕組みの説明がない場合は最大6点まで。

重要キーワード

用語説明
電子署名法一定要件を満たす電子署名に真正推定効(第3条)を与える法律
認定認証業務主務大臣の認定を受けた電子証明書発行業務。信頼性を担保する任意制度
長期署名(PAdES-LTV/XAdES-A)証明書失効後も検証可能性を維持するため検証情報とタイムスタンプを内包する仕組み
アーカイブタイムスタンプ失効前に再付与を繰り返し、証拠能力を保存期間全体に延長する技術
タイムスタンプ局(TSA)存在証明・非改ざん証明を行う第三者機関
電子帳簿保存法国税関係書類の電子保存要件(真実性・可視性の確保)を定める法律

まとめ

  • 午前I視点: 電子署名法第3条の真正推定効の要件(本人性・非改ざん性)と、認定認証業務が任意制度である点を正確に押さえる
  • 午前II視点: タイムスタンプは存在証明・非改ざん証明の2つの機能を持ち、長期署名はアーカイブタイムスタンプの重ね付けで検証可能性を延長する仕組みであることを理解する
  • 午後視点: 証明書の有効期間より長い法定保存期間への対応は、長期署名・アーカイブタイムスタンプ・訂正削除履歴管理システムなど複数の対策を具体名で説明できるようにしておく