午前I問題
ネットワーク攻撃の種類に関する記述として、適切なものはどれか。
ア)DNSのキャッシュ情報を不正に書き換え、正規ドメインに対して偽のIPアドレスを返す攻撃を「IPスプーフィング」という。
イ)送信元IPアドレスを詐称し、他のホストになりすますことで通信相手を欺く攻撃を「IPスプーフィング」という。
ウ)ARP要求に対して不正なMACアドレスを応答し、同一セグメント内の通信を横取りする攻撃を「IPスプーフィング」という。
エ)TCPの3ウェイハンドシェイクを大量送信してサーバのリソースを枯渇させる攻撃を「IPスプーフィング」という。
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正解: イ
解説: IPスプーフィングとは、パケットの送信元IPアドレスを偽装して別のホストになりすます攻撃です。ア)はDNSキャッシュポイズニング、ウ)はARPスプーフィング(ARPポイズニング)、エ)はSYNフラッド攻撃の説明です。各攻撃と対策をセットで覚えておきましょう。
| 攻撃 | 主な対策 |
|---|---|
| IPスプーフィング | ingress/egressフィルタリング(BCP38) |
| DNSキャッシュポイズニング | DNSSEC |
| ARPスプーフィング | 動的ARPインスペクション(DAI) |
| SYNフラッド | SYN Cookie、レートリミット |
午前II問題
TLSハンドシェイクに関する記述として、適切なものはどれか。
ア)TLS 1.3では、クライアントとサーバが事前共有鍵(PSK)を使用しない場合、必ずRSA鍵交換によってセッション鍵を生成する。
イ)TLS 1.3では、Forward Secrecyを実現するために、鍵交換アルゴリズムとしてDHE又はECDHEのみが使用可能であり、静的RSA鍵交換は廃止された。
ウ)TLS 1.2では、サーバ証明書の検証が完了する前にアプリケーションデータの送受信を開始できるため、0-RTTと呼ばれる。
エ)TLS 1.3のハンドシェイクでは、サーバはクライアント証明書を要求できないため、クライアント認証は別途アプリケーション層で実施する必要がある。
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正解: イ
解説: TLS 1.3の最大の変更点のひとつがForward Secrecy(前方秘匿性)の強制です。セッションごとに一時鍵を生成するDHE/ECDHEのみが許可され、過去の通信が秘密鍵漏洩後も解読されない設計になっています。ア)静的RSA鍵交換はTLS 1.3で廃止されています。ウ)0-RTTはTLS 1.3の機能であり、セッション再開時にPSKを使って往復を省略する仕組みです。エ)TLS 1.3でも相互TLS認証(クライアント証明書要求)は可能です。
| 比較項目 | TLS 1.2 | TLS 1.3 |
|---|---|---|
| 静的RSA鍵交換 | 可 | 廃止 |
| Forward Secrecy | 任意 | 強制 |
| 0-RTT | 不可 | 再開時に可 |
| ハンドシェイク往復 | 2-RTT | 1-RTT |
午後問題
A社は従業員500名の製造業企業で、社内ネットワークはファイアウォール(FW)を境にインターネット側と内部ネットワークに分割されている。また、公開WebサーバはDMZに設置されている。
ある日、セキュリティ担当のB氏は以下のFWログを発見した。
[2026-06-15 03:12:44] SRC=203.0.113.45 DST=192.168.1.0/24 PROTO=TCP DPT=22 FLAGS=SYN → DENY
[2026-06-15 03:12:45] SRC=203.0.113.45 DST=192.168.1.1 PROTO=TCP DPT=23 FLAGS=SYN → DENY
[2026-06-15 03:12:46] SRC=203.0.113.45 DST=192.168.1.2 PROTO=TCP DPT=80 FLAGS=SYN → DENY
[2026-06-15 03:12:47] SRC=203.0.113.45 DST=192.168.1.3 PROTO=TCP DPT=443 FLAGS=SYN → DENY
(以降、192.168.1.254まで同様のログが連続)
[2026-06-15 03:14:10] SRC=203.0.113.46 DST=10.0.0.5 PROTO=TCP DPT=3389 FLAGS=SYN → DENY
その後、DMZ上のWebサーバのアクセスログに以下が記録されていた。
203.0.113.80 - - [15/Jun/2026:04:01:23] "GET /index.php?id=1' OR '1'='1 HTTP/1.1" 200 4321
203.0.113.80 - - [15/Jun/2026:04:01:25] "GET /index.php?id=1 UNION SELECT user,password FROM users-- HTTP/1.1" 500 312
設問1
FWログ(03:12〜03:14のログ)から読み取れる攻撃の種類と、その目的を40字以内で答えよ。
設問1の解答・解説を見る
正解例: ポートスキャン(SYNスキャン)。稼働ホストと開放ポートを調査し、侵入口を探索するため。
解説: 同一送信元IPから宛先IPが連続的に変化し、SSH・Telnet・HTTP・RDP等の代表的なポートへSYNパケットのみを送信しています。これは応答を最小限に抑えるSYNスキャン(ステルススキャン)で、侵入前の偵察フェーズに該当します。
採点基準:
- 「ポートスキャン」または「ネットワークスキャン」の記載(2点)
- 「開放ポートの調査」「侵入口の探索」など目的の記載(2点)
設問2
Webサーバのアクセスログから判断できる攻撃の種類を答え、2行目のリクエスト(UNIONを使ったもの)がHTTP 500を返したことのセキュリティ上の意味を60字以内で説明せよ。
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正解例: SQLインジェクション。HTTP 500はSQL構文エラーの発生を示し、攻撃者に脆弱性の存在とDB内部情報が漏洩するリスクがある。
解説: 1行目の OR '1'='1 は全件取得を狙う認証回避、2行目の UNION SELECT はusersテーブルのID・パスワードを盗み出すUNIONベースのSQLインジェクションです。HTTP 500はカラム数不一致等によるエラーと推定されますが、エラー内容がレスポンスに含まれる場合、攻撃者がDB構造を把握する手がかりになります。なお、HTTP 200が返った1行目のほうが深刻で、攻撃が部分的に成功している可能性があります。
採点基準:
- 「SQLインジェクション」の記載(2点)
- HTTP 500=エラー発生の意味の記載(2点)
- 「攻撃者が脆弱性を確認できる」または「エラー情報の漏洩」の記載(2点)
重要キーワード
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| IPスプーフィング | 送信元IPアドレスを詐称して他ホストになりすます攻撃 |
| SYNスキャン | SYNパケットのみを送って応答を確認するステルス型ポートスキャン |
| Forward Secrecy | セッションごとに一時鍵を生成し、秘密鍵漏洩後も過去通信を保護する性質 |
| ECDHE | 楕円曲線Diffie-Hellman鍵交換。TLS 1.3で主に使用される前方秘匿性付き鍵交換 |
| UNIONベースSQLi | UNION SELECT句を用いて別テーブルのデータを取得するSQLインジェクション手法 |
| DMZ | 内部ネットワークとインターネットの間に設ける非武装地帯。公開サーバを設置する |
まとめ
- 午前I視点: IPスプーフィング・ARPスプーフィング・DNSキャッシュポイズニング・SYNフラッドは名称と対策のセットで識別できるようにする
- 午前II視点: TLS 1.3の主要変更点(静的RSA廃止・Forward Secrecy強制・1-RTT)はSC頻出。0-RTTのリプレイ攻撃リスクも押さえる
- 午後視点: FWログからポートスキャンを識別し、WebログからSQLインジェクションの種別と影響範囲を読み取る実務力が問われる