概要

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は自然災害・サイバー攻撃・システム障害などが発生した際に、事業を継続または迅速に再開するための計画です。DR(Disaster Recovery:災害復旧)はBCPの技術的な側面で、ITシステムを復旧するための手順と技術を指します。SC試験ではRTO・RPO・バックアップ・フェイルオーバーが頻出です。

主要指標の定義

RTO(Recovery Time Objective:目標復旧時間)

障害発生 ─────────────────→ 復旧完了
   ↑                             ↑
   │←────── RTO ──────────────→│
   
RTO = 「サービス停止から復旧まで許容できる最大時間」
例:RTO 4時間 → 障害発生から4時間以内に復旧しなければならない

RPO(Recovery Point Objective:目標復旧時点)

バックアップ ─→ 障害発生
   ↑               ↑
   │←── RPO ──────│
   
RPO = 「どの時点のデータまで失うことを許容できるか」
例:RPO 1時間 → 最大1時間前のデータは失われてもよい
指標意味コスト傾向
RTO 0時間サービス停止なし非常に高コスト
RPO 0分データロスなし非常に高コスト
RTO・RPOを下げるほどコストは増大トレードオフあり

バックアップの種類

種類方法特徴
フルバックアップ全データを毎回バックアップ復元が簡単・バックアップ時間が長い・容量大
差分バックアップ最後のフルから変更されたデータのみ復元はフル+最新差分の2つ・容量は中程度
増分バックアップ前回のバックアップ以降の変更のみバックアップ速度が速い・復元は全増分が必要
復元例(増分バックアップ):
フル(日曜) + 増分(月) + 増分(火) + 増分(水) → 水曜の状態に復元
   ※ 1つの増分が壊れると以降のデータが復元不可

災害復旧サイトの種類

サイト種別準備状態RTOコスト
コールドサイト空の施設のみ(電源・回線なし)数週間
ウォームサイトサーバ等は準備済み。データ移行が必要数日〜数時間
ホットサイト本番と同期した状態で常時稼働分単位
クラウドDRクラウドにスナップショットを保管RPO・RTOはクラウド設計次第柔軟

フェイルオーバーとフェイルバック

用語定義
フェイルオーバー障害発生時に自動・手動で待機システムに切り替える
フェイルバック本番システム復旧後に待機システムから本番に戻す
アクティブ-アクティブ複数サイトが同時稼働して負荷を分散
アクティブ-スタンバイ1サイトが稼働・もう1サイトが待機(フェイルオーバー待ち)
フェイルオーバー と フェイルバック の比較
フェイルオーバー フェイルバック
発生タイミング
障害発生時
本番システム復旧後
動作
待機システムへ切り替え
待機系から本番系へ戻す
目的
サービス継続の維持
通常運用体制への復帰

BCP策定の流れ

1. BIA(Business Impact Analysis:事業影響度分析)
   → 業務ごとに停止した場合の影響を分析
   → 優先度・RTOを決定

2. リスク評価
   → 脅威の種類と発生確率・影響度を評価

3. BCP策定
   → 復旧手順・連絡フロー・代替業務手順を文書化

4. テスト・演習
   → 卓上演習・フルフェイルオーバーテスト

5. 見直し・改善
   → 年次レビュー・インシデント後の改訂
BCP策定の流れ
1
BIA(事業影響度分析)
業務停止時の影響を分析し優先度・RTOを決定
2
リスク評価
脅威の種類・発生確率・影響度を評価
3
BCP策定
復旧手順・連絡フロー・代替業務手順を文書化
4
テスト・演習
卓上演習・フルフェイルオーバーテスト
5
見直し・改善
年次レビュー・インシデント後の改訂

BIA(Business Impact Analysis)

BIAはBCP策定の基盤です。

評価項目内容
MTPD最大許容停止時間(Maximum Tolerable Period of Disruption)
財務的影響停止1時間あたりの損失額
法的影響契約違反・規制違反のリスク
風評影響ブランド・顧客信頼への影響

SC試験での頻出ポイント

  • RTOとRPOの違い:RTO は「いつまでに復旧するか」、RPO は「どの時点のデータまで失えるか」
  • 増分バックアップの弱点:途中の増分が壊れると以降のデータが復元できない
  • ホットサイト・ウォームサイト・コールドサイトの違い:準備状態とRTO・コストのトレードオフ
  • BIAとBCPの関係:BIAで業務の重要度とRTOを決定し、その結果に基づいてBCPを策定
  • フェイルオーバーとフェイルバックの違い:フェイルオーバーは障害時の切り替え、フェイルバックは本番復旧後の戻し

よくある誤問・ひっかけパターン

誤り① 「RPOが0分なら完全にデータが保護される」→ 。RPO 0分はデータを失わないことを意味しますが、実現するにはリアルタイム同期が必要で非常にコストがかかります。

誤り② 「差分バックアップは増分バックアップより復元が速い」→ 基本的に正しい。差分はフル+差分の2つ、増分はフル+全増分が必要です。

誤り③ 「BCPはIT部門だけが策定する計画」→ 。BCPは経営・業務部門・IT部門が協力して策定する全社的な計画です。ITのDRはBCPの一部です。

関連用語

重要キーワード

用語説明
BCP事業継続計画。障害・災害時に事業を継続するための計画
DR災害復旧。ITシステムを復旧するための技術・手順
RTO目標復旧時間。サービス停止から復旧まで許容できる最大時間
RPO目標復旧時点。失うことを許容できるデータの時間的範囲
BIA事業影響度分析。業務停止時の影響をリスクと照らし合わせて評価
ホットサイト本番と同期した状態で常時稼働するDRサイト。RTOが最も短い